潮風とサンシャイン~で店を作られたオーナー様
住居兼店舗が津波で流され再建に向けて動き出した私達は..ジョイホームにコンタクトを
きっかけは、強制的なものでした。宮古の港町で営んでいた私達の住居兼店舗が津波で流された、三年前の大震災。
再建に向けて動き出した私達は、名前だけは知っているぐらいの知識で、「ジョイホーム」という住宅メーカーにコンタクトをとりました。
心の準備も無いままに家を建てなければならないという、夢や希望というよりも、とにかく早く店を再建しなければならないという、今思うと受動的な事業の始まりでした。
とはいうものの、それまでいろいろなお店を見ていたので、このような店でお客様をお迎えしたいというイメージはほぼ決まっていました。
問題は、実際に私たちの店としての「箱作り」を形にしてくれるかどうか…。そこにこそ大きな不安がありました。
自分たちの店なので、デザインを押しつけられても困るし、資料を見せて出来ませんでも困る。
そもそも、古いもの好きの私が、新築で店舗を作って満足なものができるものだろうかと悩んでいましたが、担当の瀬川さんと会話をすすめていくうち、彼の「なんでもできます」という自信にあふれた言葉に、この人に任せてみようと考えました。
店を作るにあたって重要視したことが、なるべく新築の雰囲気を排除したいということでした。
断熱性と冷暖房の効率といった基本性能をそのままに、あたかも震災前から、その場所にあったような建物にしたいと、土台の水切りから、窓のおさめ、屋根まわりなど、現場監督の伊藤さんのお知恵もお借りして進めました。
風水書を片手に、瀬川さんとファックスをやり取りして決めた間取りは快適そのもの、また伊藤さんが脚立に登って店舗照明の位置をシュミレーションしてくれたり、営業の高森さんも交えて皆で一緒に床材を選定したりと、楽しい思い出がたくさん詰まった店となりました。
また、商品を保護しながらも、日の差し込む空間を作るという命題を理解していただいたおかげで、穏やかな春の陽射しを感じられ、自然の風が好きな私の希望どおり、窓を開けると、潮風がふんわりと通っています。
海の怖さを知った今だからこそ、港町宮古にこんな店を作りたいと願った店で、植物に囲まれてお客様をお迎えできる幸せを感じていると、「なんでもできます」と言った瀬川さんの言葉を思い出します。
柔軟な提案や、的確な説明をしていただく姿に、こちらも安心して要求できましたし、そんな私たちにお付き合いいただいたジョイホームさんには、心から感謝しています。 驚いたことがもうひとつ。
それは手づくり造作の作業が多いということ。
田中棟梁さんをはじめ、お人柄の良い三人の大工さんの作業を傍で見るのが楽しみでしたが、工程途中の、ここをこうしたいとの細かい要求に、ひとつひとつ応えてくれました。
また、無垢材への知識など、昨今の住宅メーカーへ勝手に抱いていたイメージを払拭してくれる大工さんの存在は、職人の作業に憧れる私としては、うれしいものでした。なんでも、田中棟梁さんは和室も得意とされるとのこと。

もしもまた、家を建てるという機会に恵まれたら、その時は瀬川さんにデザインを任せて、飛びぬけたデザインに、こたつとミカンが似合う和室のある家にしてもらいます(笑)。